環境省自然環境局 のWebサイトに象牙に関するQ&Aが掲載されています。
象牙の扱いに関する現状を皆様にもお知らせしたいと思いますので、
少しずつご紹介いたします。
問3 アフリカゾウが密猟されているのはなぜですか?
合法・違法に無頓着で無責任な象牙の需要があり、そのような需要に対して国際組織犯罪グループ等 がアフリカゾウの密猟と象牙の違法取引に関与しており、またアフリカ諸国の統治(ガバナンス)の 弱さや貧困等ともあいまって密猟が行われる原因になっていると考えられます。
・ワシントン条約の常設委員会に提出された報告等(※1)によれば、アフリカにおける密猟は、多くの ゾウの生息国で統治(ガバナンス)の弱さや貧困があることに加え、違法象牙に対するアジア新興国の 需要があることが3つの主因であると指摘しています。
・国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告(※2)によれば、ソマリアの武装勢力等がアフリカゾウの密 猟に関与していることが指摘されています。また、国連環境計画(UNEP)が関係機関・団体と共同で まとめた報告(※3)によれば、高度に組織化された国際犯罪グループが密猟された象牙の大規模な違 法取引に関与している疑いがあるとされています。
・ドイツの研究者らより、アフリカゾウの密猟率の変化や密猟の国や地域の差に関する論文が 2019 年5 月に発表されました。その論文の概要は以下の通りです。(※4) 「アフリカで密猟により殺されたゾウの総数は減少しているようだが、正確に密猟の状態を評価する には、地域ごとの密猟率や、世界規模の動きを理解した上で検討する必要がある。年間密猟率の変動は 中国の主要市場での象牙需要の推移と強く相関している。一方、密猟の発生状況が国の間や地域の間で 異なる要因は、その国や地域の政治腐敗や貧困と強く関連する。また、アフリカゾウの密猟による死亡 率は 2011 年がピークで 10%以上と推定されていたが、それ以降は低下し、2017 年は 4%未満に低下 していることが明らかになった。政治環境の変化によって密猟対策(法執行)に投資が行われたことに より、密猟が減少したという調査結果に基づくと、法執行機関がさらに執行を強化し続けることでアフ リカゾウの密猟をさらに減らすことができると考えられるが、 これは象牙の需要の削減のほか、密猟 発生地域における汚職や貧困への対策をせずに、成し遂げられることはないだろう。」
※1: ワシントン条約第 65 回常設委員会サイト:https://cites.org/sites/default/files/eng/com/sc/65/ESC65-42-01.pdf (英語) ワシントン条約第 16 回締約国会議サイト https://cites.org/sites/default/files/eng/cop/16/doc/ECoP16-53-01.pdf (英語) 国連環境計画サイト: https://www.unep.org/newscentre/Default.aspx?DocumentID=2791&ArticleID=10895&l=en(英 語) https://www.unep.org/NewsCentre/default.aspx?DocumentID=2755&ArticleID=9686(英語)
※2: 国連薬物犯罪事務所:https://www.unodc.org/documents/data-andanalysis/Studies/TOC_East_Africa_2013.pdf (英語)
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