問 14  ゾウを保全するためには全形牙や象牙製品の取引を全て禁止した方が良いのではないでしょう か?

  象牙の合法的な取引により得られる経済的な利益は、生息国におけるゾウの保全にも役立つものであ り、違法取引の防止及び合法的な取引の管理の徹底こそが重要です。 ゾウが増加し、人間との衝突が増えている地域がある中で、きちんと管理された商業取引を含む全て の象牙の取引を禁止することが、真にゾウの保全に役立つことか冷静に考える必要があります。

・ワシントン条約の締約国会議で採択された決議 8.3(※1)には、「商業取引が当該種の存続を脅かさ ない程度に行われた場合に、それが種と生態系の保護及び現地の人々の発展に利益をもたらす可能性 があることを認める。」という趣旨が述べられています。

・実際に十分に管理された合法的に商業取引が行われているワニ類やビクーニャでは個体数の増加と生 息地の拡大が見られています。

・アフリカゾウが安定して生息しており、その個体群が附属書Ⅱに掲載されている南部アフリカ諸国は、 自然死個体や駆除個体に由来する象牙の合法的な国際取引により、ゾウの保全や地域社会の発展のた めの資金を獲得することを期待しています。日本は、このような国々の意思を尊重し、象牙の違法な取 引の防止及び合法的な取引の管理の徹底を進めております。

・日本を含む各国が合法的な国内取引を完全に止めてしまうことは、ゾウの保全に成功している南部ア フリカ諸国が将来にわたって象牙の取引相手を失うことを意味します。安定して生息しているのに象 牙の合法的取引が一切できないことになれば、その収益が失われ、現地における自然環境保全関連の資 金が減り、たとえば密猟防止のための監視活動に支障が生じることが考えられます。また、ゾウの被害 を受けている住民が、持続可能な利用の機会を将来にわたって失い、ゾウが生息していることから何も 利益を受けられなくなれば、ゾウの保全に対して非協力的になりかねない、との懸念もあります。

・アフリカゾウとの共存を模索するこのような国々の事情も勘案しながら、国際社会としてゾウの保全 のために何ができるかを冷静に考えていかなければなりません。

※1:https://cites.org/sites/default/files/document/E-Res-08-03-R13.pdf (英語・ワシントン条約決議 8.3)

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