平成28年9月に南アフリカのヨハネスブルグで開催された、ワシントン条約第17回締約国会議において、「ゾウ標本の取引に係る既存の決議の改正」が提案されました。日本はアフリカゾウの密輸や違法取引の撲滅は締約国が取り組むべき喫緊の課題であるという共通認識に立ちつつ、種の存続を脅かさない商業取引においては種や生態系の保全、地域社会の発展に貢献しうるという考え方の元で議論に建設的に参加、結果として「閉鎖されるべきは密漁や違法取引につながる国内市場であるといった、日本だけでなく米国を含む複数の締約国の意見が反映された修正案が取りまとめられました。
しかし捕鯨問題や象の問題に一貫して強い保護の立場を取り、その目的のためには違法な潜入による捜査もいとわないNGO(非政府断定)であるEIA(Environmental Investigation Agency)は、密輸密漁に寄与する合法市場と、寄与しない合法市場の区別はなく、合法市場が存在すること自体が種の保存の努力を損なうという考え方を示しています。これに対しWWFジャパン/トラフィックは、「一方でゾウの数がほとんど減っておらず、自然死した個体の象牙を自国の産品として合法的に輸出することを望む国や、自国内での象牙の取引を合法的に認めている国もあること、アフリカゾウを保全するためには、国や地域の課題に応じた対策が必要であるという、対照的な見解を述べています。