1973年、アメリカ合衆国のワシントンで絶滅の危険がある野生動植物を国同士が取り引き(輸出入など)する場合のルールを設けることが決まり、二年後の1975年7月に発効されました。これが通称“ワシントン条約”です。 
アフリカゾウは、現存する2種のうちの1種で、サハラ砂漠以南に生息している地上最大の珍しい動物。発行翌年の76年以降、ずっとこの条約の対象種でした。

1989年にスイスで開催された第7回締約国会議では、アフリカゾウの個体数が10年間で半減したとして、附属書II から附属書I に移行しました。 これにより、アフリカゾウとその派生物は国際取引を禁止され、日本の伝統的産業である象牙業界の原材料の象牙が輸入できなくなります。
その後、1997年にジンバブエで開催された第10回締約国会議でボツナワ、ナミビア、ジンバブエのアフリカゾウが条件付きで附属書IIへダウンリストされ、1999年の常設委員会で承認を得たことから11年ぶりに象牙50トンが日本へと輸入されました。

 しかし、2002年にサンディアゴで開催された第12回締約国会議で決定された60トンの象牙は後年の会議の結果なかなか輸出されず、2007年にオランダで開催された第14回締約国会議にてやっと輸出の条件が整い承認されたものの、今後9年間は象牙取引のための提案を提出できないことも同時に決定したのです。
今後、恒常的に象牙を輸入するには、ゾウの個体群を附属書I に置いている原産国が附属書II へ移行してくれるしかないのですが、それらの国が締約国会議に提案を提出してくる保障はありません。
このため、象牙輸出のための提案を締約国会議に提出してくれそうな国を、常に広く探していく必要があるのです。